西日本18きっぷの1人旅をしてきたので、その記録をしておこうと思う。今回とて書きたいことが盛り沢山なので少しずつ投稿していくことに…。ちなみに目指すは益田ミリさんみたいな紀行文なので、最後に旅費を載せています。(笑)
広島・尾道
尾道までは宮島口から山陽本線を使ってきた。高校時代の親友と、山口&広島弾丸旅をした帰りである。社会人の彼女は日曜の16時の飛行機で羽田へ飛んで帰ってしまった…。ああ、私も本当は夏休みなんてない生活をしてるはずだったのか、と考えると震えが止まらない。でも彼女には羽田まで飛ぶお金がある。学生の私はせいぜい18きっぷで貧乏旅である。
山陽本線から見える瀬戸内海はキラキラに輝いている、地中海みたいだった。中国地方を走る山陽本線と山陰本線。前者は瀬戸内海側を通り、後者は日本海側を通る。面白いのは、(少なくとも新潟県民的には、)海は田舎のイメージなのにここでは海岸線に沿って街が発展していること。真ん中に中国山地があるからか。
そんなことを考えていると尾道に到着する。ちなみに尾道について、「細い階段道、猫、瀬戸内海」の3点セット以外の知識はゼロ。そして数年使っているiPhoneの充電が異常な速度でなくなるため、カメラ以外の用途でスマホを使わないのが私の旅。
尾道駅の出口から少し行ったところで「千光寺登山口」という看板を見つけた。事前調べをしていないので、「登山?」と一瞬思いながらも、ほぼほぼ疑うことなく、「ザ・尾道」の細い細い道を進んで行った。険しい坂道と階段を、気温32度の中、ただひたすら上を目指した。
しかししばらくしても観光客とすれ違うことなく、虫も多いし、何なら尾道と言えばの3点セットの「猫」が、1匹もいない。このままでは尾道3点セットが、「登山、虫、虫」として私の脳に上書き保存される。
「本当にここ?」と思い、不安になりながらも20分〜30分くらい歩いたのだが、遭遇するのはやはり虫ばかり。無造作に生い茂る木が光を遮っていて、「この先絶対虫が出ます」と言っているような道が数メートル先まで続くのを見た瞬間、Uターンを決めた。だって絶対、なんかおかしい。仕方がなくiPhoneで Googleマップを開くと、当然、間違っていた。まあ、正確にはその道からも行けたけど、みんなが通る道ではない。
下山して駅前の通りを歩いていると、「古寺巡り」の看板を見つけた。(まだ歩きこりない。) 尾道は古いお寺がいくつも残っていて、古寺巡りができることでも有名である。行ってみるか、ということでさらに20分〜30分歩き、5つくらいお寺を回ったところでロープウェイの乗り場を発見した。ここは迷うことなく乗車。少し前までは片道320円、往復500円だったらしいが、値上げラッシュのこのご時世。片道500円、往復700円になっていた。値上げ幅がでかい。「700円は高くないか?」と思ったので片道チケットを購入。
ちなみに巡ったお寺の写真は1枚もない(笑)それだけ必死に歩いていたor充電がなかったらしい(笑)
ロープウェイの中はカップルと、友達と旅行中の女の子たちで溢れていたが、居心地は悪くなかった。説明のお姉さんの声がまるで録音かのような安定さで、なんだかロボットのような気もしたけれど。全長は365m。熱海のロープウェイが全長273mで日本一短いことを謳い文句にしていたから、まあまあいい勝負(?)
ロープウェイ到着の駅は標高180mのところにある。そこの展望台に登ると瀬戸内海が見渡せる。ポツポツと島がたくさん浮いていて、傾きかけた夏の終わりの太陽に照らされて若干霞んでいた。
標高180mは決して高くないが、1つ1つの島は小さめでそこからでも島の後ろ、そのまた後ろに島があるのが確認できる。その島との間を行き来する船。島にかかるとてつもなく大きな橋。そこを通る車。
ああこうやってずっと昔から、人々は繋がってきたんだなあ、と思うと、瀬戸内海沿岸に住む人々の歴史と、生活の一部を垣間見た気がした。
ちなみに16時に尾道に着いた私に許された日没までの時間は2時間半くらい。頂上ではっさくジュースを飲み、歩いて下山した。千光寺は参拝時間の17時を過ぎていたため、素通りすることに。
途中に「文学のこみち」を通った。ここに来るまで知らなかったが、尾道は作家・詩人ゆかりの地でもあるらしい。最も有名なのは、林芙美子さんの『放浪記』だろうか…。ほぼ読めないけど、小説の一部分が岩に刻まれている。
「海が見えた。海が見える。」
尾道に来た誰もが言ってしまうこのフレーズ。ちょっと表現を変えただけなのに、2回言いたくなる気持ちもすごくよく分かる。そのあと「五年振りに見る尾道の海はなつかしい。」と続く『放浪記』。これをきっかけに読んでみたくなった。
他にも志賀直哉や松尾芭蕉、正岡子規、十辺舎一九など…。聞いたことのある名前が続いている。志賀直哉はわりと読んだことがあるけれど、ここの岩には未読の『暗夜行路』の一節が刻まれている。まあ読んだことがあろうがなかろうが、贅沢な「こみち」である。
商店街まで下って、駅を目指す途中にあったレモンのお店に立ち寄った。レモンフラペチーノで喉を潤す。9月初旬、瀬戸内はまだまだ暑い。
あ、帰り道にはちゃんと猫がいた。海が見える階段道も続いていた。
「細い階段道、猫、瀬戸内海」。
尾道の3点セット。イメージ通り、ちゃんと揃っていた。
そこに「古寺巡り、ロープウェイ、文学のこみち、島暮らし、サイクリング、柑橘類、、、」沢山のイメージを追加して、上書き保存。
道に迷ってちょっとだけ時間を無駄にした気もするんだけど、それはそれで良いか。旅に正解はないのだし。
この日はこの後山陽本線で岡山県倉敷まで向かった。着いたのは20時近かったと思う。駅に直結のショッピングモールで旅に足りないアイテムを爆買いしてしまった…。
今回の旅で遣ったお金
尾道駅ロッカー代 600円
ロープウェイ(片道) 500円
はっさくジュース 300円
レモンフラペチーノ 490円
お土産 749円
夜ごはん(セブン) 602円
化粧品など 2552円(😱)
無印良品 250円
6043円也。。。
※18きっぷを使っているため交通費は省略です。