Serenita

感情の消化。

【世界一周】#38 大好きな人たちに会いに行く旅 〜アメリカの大学に潜入〜

今回の記事の大枠(大文字部分)

羽田→シンガポール→ロンドン→ブリュッセルアムステルダムブリュッセル→ロンドン→バルセロナマドリードパナマ→アルバ→キュラソー→アルバ→パナマ→ヒューストン→ダラス・フォートワース→ロサンゼルス→成田

 

今回はEの大学に潜入した話を書いてみたい。Eの大学に行くことは、アメリカ滞在のメイン並みに楽しみにしていたことだった。

 

 

学費と施設

Eは私と同じ看護学部に在籍している。アメリカの大学は信じられないくらい学費が高い。特にEの行っている大学は、私立であり、私立の中でもお嬢様校と言われている学校だった。気になる学費は年間なんと、約72,000ドルで、円安の今の日本円に直すと1050万円を超える、、!!(※正確な額を書くと大学を特定できるため、大体の額。)

 

アメリカの看護学部は3年間(通常29ヶ月、ただし早いコースだと19ヶ月)で卒業でき、トータルの学費は3000万円を超えるということで、日本の中でも平凡な家庭で育った私には目が飛び出る額なのである。

 

しかしそれはEにとっても高額である。Eの家族は移民のため、決して裕福な家庭ではない。Eは3年ほどアルバイトをして学費を貯め、残りは奨学金アメリカでは基本的に返済不要の奨学金がある)で賄っている。

 

学費が異常に高い分、キャンパスは広大で綺麗で新しいが、それでも高い。うん。

 

アメリカの看護学部の授業

私はこの日、合計2コマの授業を受けさせてもらった。1コマ何分だったか記憶が曖昧なのだが、90分だったような気がする。7時半に家を出て、9時から1限の授業だった。1クラス20〜30人ほどの生徒がいた。当然その人数だと、日本で言う「もぐりん」みたいなことはできないので、Eが事前に先生から許可を取っていてくれた。Eの友達数人に挨拶をし、最前列に座る。

 

1コマ目は日本で言う(というか私の大学で言う)「疾病治療各論」の授業で、この日は神経難病について学んだ。授業が始まるまで、このクラスの先生と話していたのだが、とても優しい先生だった。私がEとの思い出を話していると、「あなた英語上手いわね、どうやって勉強したの?」と。アメリカ人(というか、英語母語話者)は、外国人が英語を話せることを当たり前だと思っている説があるので、正直驚いたし、そんなことを言ってくれるアメリカ人は初めてだった。

 

授業は、先生がスクリーンに映したパワーポイントを用いて説明する形式で行われた。アメリカの授業は、生徒が活発に意見交換をするようなイメージがあるが、意外と大学レベルになると講義スタイルの授業も普通にある。事前にパワポを配ってくれるので、それをipadに取り込んで書き込みながら授業を受ける人が多く、この辺も私の日本の大学とほぼ変わらなかった。また、パワポの中には動画があり、パーキンソン症候群の症状を見たり、ALS患者のドキュメンタリーを見たり、全体的に日本の授業よりも動画が多いので、授業は飽きることなく聞いていられた。授業の節目節目で授業内容に関する4択クイズがあり、学生が積極的に手を挙げ、答えと、なぜそう思うのかを述べていた。私の大学の授業でも、国試の問題を授業の途中でぶっこんでくる先生がいるが、基本的に皆控えめに手をあげる。そして正直私は毎回答えが分からない(苦笑)

 

疾病治療の授業は既習のため、英語で専門用語を言われても大体理解できたし、授業内容の9割以上を理解でき、私は満足だった。

 

2コマ目は小児看護学の授業だった。この数日前までEたちは周産期看護を学んでおり、テストが終わってこの日が小児の最初の授業。ということで、初回は成績の付け方や概要説明でとても簡単に終わった。

 

授業内容に入るとまず、小児ではバイタルサインを測る順番が異なることを学んだ。

先生「成人では通常何を1番最初に測りますか?」

「血圧」

 

日本では通常「体温」だと思うので、私は危うく1人で間違えるところだった。(アセアセ)まあクラス全体に響き渡るような大声は出さないから、聞こえないか。

 

続いて

先生「そうですね。でも小児では血圧は最後にやることです。なぜでしょう?」

問いを投げかけると、学生が理由を次々に答える。この辺は日本と同じような話だった。ちなみに私はこの時点では小児看護を習っていないので、知識がない。小児の感情やエリクソンの発達段階、子どもの成長発達や環境の工夫など、4月以降に日本でも同じような内容を習った。(そういえば、エリクソンの発達段階を聞かれてみんな一斉に答えられていたな。私は毎回調べているけれど。汗汗)あ、あと「乳児」や「幼児」といった用語の定義も確認していた。これも日本と同じだ。

 

先生は、授業の合間に学生が飼っているペットの写真を見せていた。事前に学生から写真を送ってもらい、日替わりでランダムに写真を提示する。するとその飼い主の生徒がペットについて説明する、という流れのようだ。ほんの5分程度だが、気分転換になって良い。授業に集中してもらう工夫が、やっぱりアメリカ人は上手だなと感じた。

 

\小児看護学の授業で出てきた単語/

Pediatric 小児

→みんな略して「peds」(ピ−ッズ)と呼んでいた。

Atraumatic care  日本語…?

→「traumatic」の逆。

Temperament 機嫌

→小児看護では大切

NICU

→日本ではNと呼ぶことが多い?が、アメリカでは「ニキュー」と呼んでいて衝撃。最初なんの話をしているのか全く分からなかった。

 

...このくらい?他に意味が分からなかった単語はなかった気がする。この授業も図や動画が多く、概論だったこともありほぼ全て理解できた。

 

実習

日本と同じように、アメリカでも病棟での実習がある。ただ日本とは異なり、数週間連続でやるのではなく、1日単位で行っていた。実習服は大学のテーマカラーのスクラブだった。日本のように決まった髪色で派手すぎないメイク、ネットの中に髪を入れるとかそんなことは決まっていない。自由にメイクをし、金髪に染めている髪を適当に束ねて出て行く。いいなあ〜と思う反面、実習先の病院が遠いと朝5時に家を出て行くので大変そうだった。でも早起きを乗り切れれば、絶対にアメリカの看護学生が良い。

 

E曰く、実習で指導してもらう看護師によっては、学生に良い態度を取らないこともあるので、実習が楽しいかどうかは運らしい。意外とこの辺も日本と同じだろうか。まああまり書かない方が良いのでおとなしくしていよう。ちなみに「nurse bullying」で検索すると、動画やニュース記事がたくさん出てくる。あの現象って、インターナショナルなんですね(?)

 

アメリカの看護師

アメリカの看護師は、州にもよるが、平均年収なんと$75,510。円安の現在の為替レートで計算すると1000万円を超えてくる。ひい。信じられない。しかもそれで週3日ほどしか出勤しない。

 

ちなみに私はパナマに留学している時、色々なところで親の職業を聞かれることがあった。私の母は看護師のため、そう伝えると決まって「だからお金持ちなのね!」と言われた。それまでこんな風に日本で言われたことは1回もない。アメリカやアメリカ大陸の国では、看護師は専門性のある高収入の職業として認識されている。Eや他のアメリカ人も、アメリカでは看護師はとても必要とされ、社会的ステータスの高い職業だと言っていた。(アジア圏や欧州の友達とも話したことがあるのだが、皆日本人と同じような反応をするので、「看護師=金持ち、尊敬」の図はどうやらアメリカやアメリカ大陸特有のものだと思われる。)

 

Eはアメリカで看護師になったら、生活に困ることはまずないと言う。大きな家を買い、フィアンセのメキシコ人と娘と暮らすことを夢見ていた。「看護師になったら家族3人で日本に行くのも余裕よ。」と(羨)

 

ついでにアメリカでは日勤担当と夜勤担当が決まっているので、生活リズムが狂わないのも利点である。うーーーん。私は今まで英語や他の言語を勉強してきて、言語だけできてもどうしようもないじゃんとか散々聞いてきたけど、今こそ勉強してきたことを利用すべきなのでは?と本気で思う、、。

 

そういえば話は変わって、日本では国際系や言語系学部の人気が最近注目されている。しかしこれまでの私の経験的に、ラテンアメリカでそのような文系学部を伝えてもぽかんとされてきた。ラテンアメリカの人は基本的に文系学部に興味がない。…というか、良い評価すらない気がする。大学といえばテクノロジーやサイエンス、医学部、歯学部、エンジニアなどがほとんどで、なんで文系の学部?とすら思うのだろう。でもアメリカでは、文系学部も評価される。下の写真も「副専攻としてアジア地域を学びませんか?」といった宣伝だ。Eは私がすでに文系学部の学士を持っていることを、やたら友達に自慢していた。いつもラテンアメリカに行き、ラテンアメリカ人にしか評価されることがないので、この時はなんだか嬉しかった。国が発展しているほど、文系学部も重要視されるため、評価されやすいのかもしれない。

 

 

余談と希望が多くなったが、これが私のアメリカの大学潜入記である。旅行で訪れていたら絶対にできなかった、アメリカの大学の授業を受けることができ、ホストシスターとの出会いに本当に感謝している。

 

学内の写真をほぼ撮らなかったのだが、唯一撮ったのがこのコーナー。ボウルは空だが、なんのお菓子が入っていたのだろうか。