Serenita

感情の消化。

【世界一周】#9大好きな人たちに会いに行く旅 〜スペイン編③〜

今回の記事の大枠(大文字部分)

羽田→シンガポール→ロンドン→ブリュッセルアムステルダムブリュッセル→ロンドン→バルセロナマドリードパナマ→アルバ→キュラソー→アルバ→パナマ→ヒューストン→ダラス・フォートワース→ロサンゼルス→成田

 

フィゲレス

前日に休息したおかげでこの日はかなり元気になっていた。スペイン最終日、どこか遠出をしようとベスフレと考えていて、フランスに行くことも考えたのだが、時間もないのでバルセロナの少し北のほうにあるフィゲレス(Figueres)という街に行こうと決めていた。

 

フィゲレスは画家サルバドール・ダリの生まれた地であり、ダリ美術館がある。(美大卒のベスフレを持つと永遠に芸術巡りに付き合わされる。)逆に言うと正直それしかない街だけど、私もスペイン3回目なので王道すぎる王道を外してみるのも良さそう。ということで。

 

フィゲレスへは高速鉄道で行くことができ、1時間で着いてしまう。しかしこれがなぜかオンラインチケット販売対象外だったため、当日チケットを買うことにしていた。美術館はオンラインでチケットを買い、12時の予約。(17€=2445円)

フィゲレスはほぼフランスとの国境の街。

サンツ駅での出来事(フラグ)

朝、私たちはしっかり高速鉄道の時間を確認し、ホテルすぐ脇のサンツ駅へ。駅には高速鉄道チケットの購入機械があるが、なぜか1台も機能していない。ウェルカムトゥースペイン。ということでその先の窓口に並んで買うことにした。

 

お姉さんはスペイン語で「フィゲレスならこっちの方が4€安いから安い方にしておくわね。」と言った。理由は知らないが(というか、何か言っていたがスペイン語が分からなかったので流した。)、もちろん安い方が良いので「ありがとう〜」。購入にはパスポート情報が必要で、ベスフレがパスポートを差し出すと、「名前すっごく可愛い〜!!!」と超優しい対応で私たちはかなりご機嫌だった。うん。

 

事件

「なんで安かったんだろうね〜〜」「あのスペイン語なんて言ってたんだろう〜」と話しながら、高速鉄道に乗るための荷物検査の列に並ぶと「この切符はここじゃないよ」と注意を受け、指示されたホームに行く。そのホームがどう見ても高速鉄道のホームではなく、「ああ、鈍行の切符にされたんだ。だから4€安かったんだ。」とようやく意味が分かった。それでもこの時はそこまで問題だと思わず、ホームを降りて停車していた電車に乗るベスフレ。私は「この電車でいいのかな?」と一瞬躊躇ったのだが、その一瞬の迷いの間に電車のドアがなんの前触れもなく閉まった。体を挟まれそうなベスフレは無理やり電車の中に。もちろん私は電車の外。「流石に車掌さんドア開けてくれるだろう。」と思ったのに、見てるのか見てないのかそのまま電車は発車。窓越しのベスフレも、ホーム上で電車を見送る私も、正直絶望すぎて発狂。

 

一部始終を見ていた近くの男性が、「仕方ないさ〜」と慰めてくれた。そのついでにフィゲレスへの行き方を聞いたが、知らないらしい。「電光掲示板に停車駅が流れるから、それで確認できるよ。」と。でも流れない。そもそもベスフレが乗った電車がフィゲレスへ行くかも分からない。

 

田舎の駅で2時間

バルセロナにはL1〜L11まで番号が振られた地下鉄があり、それと高速鉄道(AVE)、そしてR1からR16まである「Rodalies」という近郊電車があることをその時に初めて知った。今まで空港以外に近郊電車を利用したことはないと思う。

 

フィゲレスへはサンツ駅からR11のPortbou行きに乗れば1本で行けるのだが、これが1日に10本ほどしか出ていない。フィゲレス止まりも1時間に1本〜2本出ているが、すでにベスフレが電車に乗ってしまったということで(?)、途中の駅で待ち合わせることにした。(今冷静になって考えてみると、多分この駅で落ち合ったのがいけなかった。)

 

「Granollers Centre」というこの駅が最強の田舎で、まず1日に8本しか電車が来ない。私は9時29分にこの駅に到着したのだが、改札のところに立っていた掃除のおじさんに次のフィゲレス行きを聞くと、11時29分と言われた。私の地元並みに電車来ないじゃん…。ついでにただただ何もない駅でトイレに行きたすぎるので、改札の外に出してくれないかとお願いすると余裕で改札横の扉を開けてくれた。(切符は途中下車すると無効になってしまう。)ありがとう…うるうる

Google mapとは全く連動していない時刻表。

こういう時にgoogleマップを活用すれば良いのだろうけど、私はなぜかいつも直感で動きがち。駅を出てふら〜っと右に曲がると、ラッキーなことに愛用メルカドーナのあのバスケットの看板が若干遠くの方にあった。もう勝ちを確信。早足でお店まで行き、店員さんにトイレの場所を尋ね、トイレを使わせてもらい、ついでに朝から何も食べていないので、ゆっくり店内を散策しながら2人分のクロワッサンと水を買って出てきた。郊外だからか超格安。クロワッサンが1つ0.35€、水500mlが1本0.25€で買えてしまった。

忘れもしない3年前、コロナでスペインがロックダウンした時、私と妹は食べるものに困ったのだが、このメルカドーナのドーナツだけは私たちを裏切らなかった。

また駅に戻り、先ほどのおじさんに改札隣のドアを開けてもらい、ベスフレが来るまでベンチで待っていた。バルセロナは暖かいけど、北上したからかかなり寒かった。そして私より1時間くらい遅れてベスフレが到着。感動の再会を果たした。私よりも長い長い複雑且つ困難な道のりだったらしい。ドアに挟まれた事件パート2を起こしたとか。彼女はロンドンにいる時も常にGoogleマップの経路機能を使って電車やバスの時刻を調べていたのだが、バルセロナではそれと駅に貼ってある時刻が違うので衝撃を受けていた。あの経路機能が頼りにならないのがスペイン。

感動の再会をした駅。大きいけど本当に何もない駅。

ベスフレがコーヒーが飲みたいと言うので、また改札のおじさんに話しかけ、脇から出してもらい、駅についていたカフェに入った。田舎の駅だけど一応ちゃんとしている。しかもそこにトイレがあるとは…。長い事件すぎた道のりを聞き、予定の電車に乗ることに成功した。ホームで私たちの隣で電車を待っていた家族にも、「この電車フィゲレスまで行きますか?」と聞かれた。私はおじさんから聞いたことを信じて「行きます。」と答えておいた。みんな分からない。だって本当に何も書いてないから。車内アナウンスも多分なかった。スペインは観光大国で、全てが整っているイメージだったけど、意外とそんなこともない一面。ウェルカムトゥースペイン。

 

電車の中でクロワッサンを食べて、途中「こんなところに住んでたらどうするんだろう〜」というくらいの田舎すぎる田舎を走ったり、ジローナのような少し大きい街を通ったり。

これで1.2€と言われた時聞き返した。

こんなところに住んでいたらどうするんだろう。

ダリの世界観

フィゲレスに着いたのは13時27分。2時間もかかった。着いてすぐに美術館に直行する。フィゲレスの高速鉄道の駅とローカル線の駅は少し離れた位置にあり、高速鉄道の駅よりもこのローカル線の駅の方が美術館に近いと聞いていたが、どっちもどっち。意外と1キロ以上の道のり。ただ、途中ダリの似顔絵が隠れていたり、おもしろい外壁の建物があったりして意外と楽しいところもある。

意外と気づかないところだった。

すごい外壁。


美術館につき、12時のチケットで14時に入れるのか私たちは怯えていた。でももちろん時間なんて関係なかった。余裕で通過。ペットボトルを持って入場できるかスタッフに尋ねると、「水ならいいさ〜ウォッカじゃなければ〜!」と言われた。ウェルカムトゥースペイン。

 

ダリ美術館には1万点の作品が展示されていて、ダリ自身の遺体も埋葬されている。建物の外装も、内部も全てダリの世界観すぎて普通の人にはついていけない。それと、ダリの作品と聞いて普通の人が思い浮かべる絵はこの美術館にはあまりない(多分)。私とベスフレは去年の夏に、福島県の山奥にある「諸橋近代美術館」に行ってきたのだが、むしろそこの方が「ダリ!!」という作品があった気がする…。(あそこもまあまあ行くの大変だった。鹿が横切ったし。)まあでも、この美術館もおもしろい。行く価値は十分ある。

外装からなかなかついていけない。

入ってすぐこれ。

とにかくダリはダリすぎる。

帰りはもちろん課金

館内は結構広いので、テンポよく見ると飽きることなく全て見尽くせる。私たちは1時間ちょっとで美術館を終え、帰りは課金する気満々で高速鉄道の方の駅に向かった。高速鉄道で1時間でバルセロナに直帰し、スペイン最後の買い物を楽しむと意気込む私たちの足取りは軽い。こちらの駅までもかなり遠かったが。到着してすぐ「みどりの窓口」的なやつに駆け込む。

 

バルセロナまでのチケットを買うと1人22.40€。ただしなんと次の電車は17時2分発と言われ、待ち時間1時間半。(開いた口が塞がらない。)信じられない…。でもまたあのローカル線に乗る気はゼロなので、渋々その切符を買った。駅には時刻表が貼ってあるのだが、17時2分発はどう見てもないし、なんなら他にも時刻表上電車は沢山出ている。シーズンオフだったからなのか、なんなのか本当に不明。ウェルカムトゥースペイン。ちなみにここはパリへ行く電車も通る。

 

フィゲレスの駅の周辺は究極に何もないので、駅内のカフェに入って時間を潰す。チーズケーキを頼んだけどすごく美味しかった。そういえばスペインってバスクチーズケーキの国だから本場か。時々電車を降りて来る人を眺めながら時間を潰した。

高速鉄道の駅の周辺だというのに本当に何もない。

カフェのチーズケーキ

 

高速鉄道に乗り、バルセロナまで帰れた時は感動した。長い長い旅だった。

わんちゃん…つーちゃんくらいもう来ないかもしれない。

そのままカタルーニャ広場まで行き、スペイン発祥のZARAをハシゴ。日本の半額くらいの値段で購入できる。レジに並んでいる時、巨大すぎる犬を連れて並んでいる人がいて、恐怖だった記憶がある。あと、レジでメールアドレスを聞かれ、その後郵便番号を聞かれたため、「日本に住んでいるんです〜」と言ったら、「ええそうだったの!!!じゃあ大丈夫よ!」と言われた。あれ、なんだったんだろう。

 

そしてまたメルカドーナでパエージャとパスタサラダを買い、ホテルのベッドの上のテーブルでスペインラストディナー。(ベッドの上のテーブル生活に味をしめただけの私たち。)

このホテル最高。

テレビをつけると、2013年7月に起きたスペインの高速鉄道脱線事故の裁判がちょうどニュースでやっていた。速度超過で起きた事故。恐ろしい…。スペインは日本より少し大きいくらいの面積だが、各地に名所が点在しているので、高速鉄道が欠かせない…。この次の日も私はバルセロナからマドリードに移動するために高速鉄道を使う。620km以上の距離を2.5時間〜3時間で結んでしまう。ありがたいような怖いような。(東京⇄大阪間が500km)利用前日に見たくないニュースだった。

 

欧州編完

以上でスペイン編、そして欧州編終わりです。たった3泊の旅は短すぎ!と思われると思います。私たちも思いました。でもこの次の日のチケットがとても安かったんです。帰らざるを得なかった。

 

今回欧州4カ国に行って、各国の特徴を比較して肌でそれを感じられたのが印象に残っている。例えば、イギリスに行けば色々な面で整っていて、ああ〜イギリスってやっぱり欧州の中でかなり優等生だよな〜と思ったり。積極的に別会計にしますか?と聞いてくる感じとか、ちょっとした配慮が日本人にとったら暮らしやすい。そしていつも私は非英語圏に行くせいで、半分くらい盲目な気分なのだけど、イギリスは英語だから世界がかなりくっきり見えていた。世界が見えるとおもしろい。もっと楽しめる。だから語学ってやめられないんだよなあ〜って心の底から思った。

 

欧州っていつも一括りにされがちだし、中南米に比べたら刺激も少なそうって思ってたけど、ベルギーとオランダだって隣の国なのに全然街並みも違った。あと、欧州は世界史の中心的な部分を占めているから、教科書の中だけの世界が自分の中でリアルになって、ただ文字だけだった記憶が生きた映像に代わって残っていく。それは他の地域ではできないことだと思う。美術館や博物館、観光地の整備が行き届いているからこそ可能になる。

 

行ったこともないのに勝手に比べて価値判断するのって本当に勿体無いと思った。楽しみ方って無限だし、その人次第だし、どこかに旅に出るその価値は行き先じゃ決まらない。

 

もっともっと色んな国を見たいと思った旅だった。