今回の記事の大枠(大文字部分)
羽田→シンガポール→ロンドン→ブリュッセル→アムステルダム→ブリュッセル→ロンドン→バルセロナ→マドリード→パナマ→アルバ→キュラソー→アルバ→パナマ→ヒューストン→ダラス・フォートワース→ロサンゼルス→成田
この日ついに大西洋を横断しパナマへ!!!とても長いけどこの日はこの旅の中で1番?心情変化が激しいので区切りながらでも読んでいただけたら嬉しいです…。
マドリードへ
マドリードから乗る飛行機は11時50分発のため、そこから逆算して2時間前に空港に着くには9時半にはマドリードにいる必要がある。となるとバルセロナを6時35分に出発する高速鉄道を予約したが(15€=2168円)、これでもかなりギリギリかもしれないと後から気付き、ちょっとドキドキ。
朝早く起き、ひとりで出発の準備をする。ベスフレはお昼にバルセロナからロンドンへ帰るため、ベッドの中からバイバイ。扉のところまで送ってくれないところも大好き。この旅の前半戦、ほぼずっと一緒に過ごせて私は幸せでした。
サンツ駅がホテルの隣というのは改めて、本当に本当に本っっっ当に、便利。一瞬でサンツに到着。すでにチケットは持っているので、直接荷物検査を受ける。出発の30分前にはチケット確認の列に並んでいた私。ここでパスポートとチケットを確認され、下のホームへと続くエスカレーターに乗れる。ここで私は知らなかった事実を知った。
スタッフ)「あなた荷物にお金払った?」
私)「えっ。払ってないヨ(アセアセ)」
スタッフ)「じゃあここで待ちなさ〜い」
なんと高速鉄道の荷物が課金制になっていた。いつからかは分からないが、3年前に全く同じスーツケースで全く同じバルセロナ→マドリード間を移動したときは荷物のことなんか1ミリも考えなかったので、無料だったはず。ひいいい。(小さいスーツケースなら無料です。)
はあ〜と思い、もう今更荷物を捨てるわけにはいかないので腹を括りスタッフを待つ。しかし駅員さんはチケットの確認の列が途絶えても一向にこちらに対応する気がない。ちなみに他に同じ注意を受けたのはスペイン人の女子2人のみ。私たち3人は出発の5分前まで待たされた。
流石にもう乗り遅れるよ???とキレそうになったところで、さっきからずっと視界にいたけど何もしてなかったおっさんが近づいてきた。ん?この人じゃないよね?だって、さっきからいたけど、立っておしゃべりしてただけじゃん。と思ったけど、この人だった。暇人でこの役任されてるならもっと早くきてよ。もう5分前!!!
…とイラつき、「残念だったねえ〜30€だよ。チケットを買うときなら10€で良かったのに。」と、あまり上手くない英語で皮肉られたことにもイライラした。クレカで支払うと、「これとっても大切だからマドリードに着くまで持っておいてね〜」と控えにただの紙切れを渡してきた。おっさんに笑顔で「Thank you.」と伝え、大慌てで電車に乗った。
後々調べると、チケットを買う時に荷物オプションを付ければ10€、出発の30分前までに買えば15€、そして私のようにチケットチェックの場所で指摘されると30€のチャージになるらしい。以後気をつける。本当に。3年前のブログを振り返ると、3年前私はチケットを予約せずその場で購入したせいで119€も取られて目が飛び出ている。…今回は予約ありでチケット自体は15€で獲得したものの、30€(=4396円)の「お荷物」がついた…。それでも安いが…(ツギコソッ。)
車内は奇跡的に荷物置き場が1つ空いていたので、そこに荷物をぶち込む。朝6時半のマドリード行きは満席に近かった。私の席に荷物を置くスペイン女子に「Hola〜」と声をかけるとすぐにどかしてくれた。スペイン語圏では「Hola」と言うだけで相手との距離が一気に縮まる。魔法みたい。
この電車が昨日苦戦を強いられたフィゲレスから来た電車だと知り、おおーっとなる。行ったことがある世界が増えるのは楽しい。マドリードまでの間にサラゴサやグアダラハラを通り、乗っている人も意外と入れ替わる。スペインの郊外は荒野が続いていた記憶があったが、あの記憶はこの区間の車窓か、とリンクした。そしてなぜか20分巻きでマドリードのアトーチャ駅に到着した。(遅れるよりは全然良いから突っ込まないでおこう。)アトーチャ駅はマドリードの2大ターミナル駅の1つ。
ここからマドリードの空港へ移動する。3年前もアトーチャから空港に移動したのだが、直感でメトロを乗り継いで行った記憶があり、ネットを読むとメトロが一番効率が悪いと言うので、今回は電車で行こうと計画していた。アトーチャ駅はかなり大きく、迷う予感しかしなかったので、前日にアトーチャ駅の地図を読み込んでいたのだが、全然不安(ほぼ地図が使えない女)。しかしそんな不安が一瞬でなくなったのは、アトーチャのホームを登った瞬間に、ターミナル4行きの電車乗り場が見えたからだ。表示が大きくとても分かりやすかった。
昨日までの読み込みの時間はなんだったのかと、余裕の足取りで改札に行くと、不思議なほど誰もいない。そして女性のスタッフが立っていて何人かと話していた。
「?!?!?!」(もう期待ゼロ。)
「Hola〜、空港には電車で行けませんか?」と聞くと、「今日は動いてないの!タクシーかバスで行った方が良いわよ!!!」…はあ。
安堵が一気に不安に変わり、昨日の予習事項も出て来ない私。「とりま外に出てタクシー捕まえるか…いくら取られるんだろう(泣)」と思ってドアを出ると、偶然、本当に偶然、脇の方にスーツケースを持った人の列が見え、近づくと空港行きのバス乗り場だった。また一気に不安が安堵に変わり、その最後尾に並ぶ。
ところがところが、バスはいるけど運転手が不在というウェルカムトゥースペインな状況で、やはり安堵は不安に戻る。待てど待てど運転手が来ないので途中で列を抜ける人もいた。ドアが開かないので外で待たせられている私たち、マドリードは気温6度でかなり寒い。バルセロナから来た私ですら久しぶりに冬を感じた。しかもフライトの時間が迫っているので、私もタクシーにしようか本気で考え出した頃、のこのこ近づいてくる散歩風なおっさん。まさか…?もちろんそのまさか。ウェルカムトゥースペイン。
空港までこのバスなら5€(=733円)で行くことができる。現金でもカードでも支払い可。街中3つくらい停車し人を乗せた気がするが、その後は空港まで大暴走。そのおかげであっという間にターミナル1に到着。車内のモニターにもT1と表示される。私はイベリア航空を利用するのでT4まで乗るのだが、T2に着いた時「ここが終点です。」的なアナウンスが流れ、モニターもそこで仕事終了。えっ。まさか、T2まで?と思ったら何事もなくT4に行ってくれた。私はそこで降りたので分からないが、その後恐らくT3にも行ったと思われる。(謎すぎる順番。)(そしてマドリードの空港は本当に巨大。)
アディオス スペイン
T4はほぼイベリア航空のターミナルなのだが、「この便はこのカウンター」みたいな表示ではなく、行き先の地域ごとにカウンターがある。となるとラテンアメリカ行きは一緒くたにされているため、列も長い。カウンターのお姉さんに行き先を聞かれ、「Panama」と答えると、なんでこいつがパナマ?みたいな顔をされ(私見)、鼻で笑われたが(事実)、私の荷物が爆発的に重いことを知ると、課金を要請する前に「手荷物にうつしな〜!」と裏ワザを積極的に進めて来た。私が大慌てで荷物を引き抜き、すでにパンパンの手荷物にさらに押し込むとお姉さんは笑ってshrugged…肩をすくめた。「もうこれで良いことにするわ」と。
お姉さん優しい。ゆるゆるスペイン。
今パナマはコロナのワクチン接種証明書がないと入国できないため、この時点で接種証明書を見せるように言われる。
マドリードの空港は巨大なため(2回目)、荷物検査後に電車に乗りゲートまで移動する。ゲート前のコンビニで3.85€(=555円)もする水を買った。わりと着いたのはギリギリだったのだが、なかなか搭乗できずにゲート前で待ちぼうけ。だから搭乗時間になると大混雑でカオス。近くのゲートも皆ラテンアメリカ方面行きだったため、周りがすでに中南米バイブでお祭り騒ぎ。
狭い世界
ここに来るまでに何度も感情がぐわんぐわんされているので、私は機内で寝るから!!!と意気込んでいた。2列シートの通路側にした席に行くと、すでに窓際には50代くらいのおじさんが。カジュアルな感じだったのでサラリーマンかな?と思い、とりあえず魔法の言葉「Hola〜(寝させてね〜)」を言っておく。「Hola」と返してくれた彼の発音的にスペイン語ネイティブだと分かる。
この辺まで来ると重すぎる荷物を棚の上に1人で上げるのも慣れてきていた。席に着いてしばらくすると、隣のおじさんに声をかけられた。
おじさん)「…えっとその…君はパナマに行くの…??」
それはかなり訛った英語だった。まあそうだよね。アジア人女子が1人でスペインからパナマに行こうとしていたら誰でもきっと不思議がるだろう。私はこの知らないおじさんに軽く経緯を説明した。これから9時間のフライトだ。味方を作っておいた方が良い。
すると本当に驚くことに、このおじさんの娘さんも私と同じ留学団体を使ってコスタリカに留学中で、彼は一家全員で娘さんに会いに行くところなのだと言う。信じられない。しかも彼は何年もの間ホストファミリーをしており、この留学団体とは長い付き合いなのだと。ついでに彼はスペイン人ではなくイタリア人で、今朝5時にミラノの空港から飛び、マドリードとパナマを経由して今日の夜にコスタリカの首都サンホセに着くらしい。こんな偶然の出会いに2人とも興奮が収まらず、とにかく話し続けた。
「What a small world.」これに尽きる。
ところでこんなに長い間話していても飛行機は一向に動かない。しばらくしてから、「システムプロブレムが発生しているため出発できません。この修理にはまだしばらく時間がかかります。」とアナウンスが入った。まあおじさんとの話に花が咲いていたため特に問題はない。そしておじさんは、一緒にきている斜め前に座っていた義父を紹介してくれた。おじさん曰く、機内後方にも2人の子どもと奥さんが乗っているらしい。続いている席を取れなかったのだと言う。なんか申し訳ない。(そしてそろっと寝せて欲しいかも。)
結局システムが復旧したのはなんと1時間半後。しかもその時のスペイン人機長の英語アナウンスがこちら。
「みなさま、お待たせしました。システムは直りました、I think。もう全て問題ありません、I think。これから離陸の準備をいたします。」
…このいちいち語尾に付く「I think」がかなり不安を煽る。もう一度言おう、感情をぐわんぐわんにされるスペイン。いつか住みたいくらい好きだ!!!(皮肉5割)
大西洋横断
私はこのフライトで人生で初めて大西洋を横断した。大西洋は太平洋よりも小さいイメージがあるが、パナマまで9時間ほどかかる。フライト中、意外と揺れるところも多く、着席していなければならない時間が長かったが、家族と対談したりエクササイズをするために隣のおじさんは何度も席を行ったり来たり。仲良くなったことを利用され、その都度起こされた私。おじさんの家族全員に挨拶もした。
パナマの入国カードを書き、初めてで書き方が分からないおじさんに書き方を教え、ペンも貸した。「これ、書きやすいよ〜〜」と私のよくあるペンを褒めておじさんはご機嫌だった。
3年ぶりのただいま
システムエラーが機長的に直ったと思われた機体で無事パナマシティに着いた。現地時間16時ごろだったと思う。おじさんとは飛行機を降りたところで別れた。「ミラノに来るときはいつでも言ってね。」と、連絡先をもらった。なんだか不思議な体験だった。
さて。パナマシティの空港は、到着すると免税エリアを逆走して入国審査などに行くとても珍しい(?)混乱の元の構造。着くと毎回どっちこれ…となる。今回もはてはて。まあなんとか入国審査に並び、今回も余裕に入国でき、「パナマにようこそ。」と言ってもらった。スタンプガシャンor電子化ゲートの国がほとんどだけど、パナマだけは毎回言ってくれる。この一言があるだけで本当に嬉しくなる。
スーツケースをピックアップすると若干濡れていたが、恐らく湿度によるものだと思う。税関もするすると通り抜けられ、空港を出た。
ええと、ママさんどこ…と探した瞬間に、柵にもたれかかってスマホをしている彼女が見つかった。あのシステムエラーのせいで私の便は1時間も遅れて到着したのだが、おじさんとの会話に夢中で、出発前に遅れている旨を報告することができなかった。
「遅くなってごめーーーん!!!」と抱きつくと、ママさんはとっても笑顔で抱きしめてくれた。私は気がつくとなぜだか涙が溢れていた。温かさが嬉しかった。多分。だからもう一度抱きしめられた。ママさんは両隣の知らない人に、「この子、パナマに来るの3回目。私の娘なの!」とすかさず報告。私はとりあえず会釈するしかない(笑)
空港を出た。空港前のヤシの木が揺れている。この光景は8年前に初めてこの国に来た時と何も変わっていない。傾きかけた太陽が照りつけ、蒸し蒸しした熱風が吹く。「暑い!!!」スウェットを脱ぐ時、西洋とか、先進国とか、普段当たり前に思っているものとの繋がりが切られる感じがする。そして無駄な不安とかプライドとか悩みとか、そういう思考回路もプツッと。それは永遠ではなくて、一時的な、この国にいる間にだけ起きる現象。
車に乗り込んだ。見つけたらしいヘビの抜け殻をママさんが自慢して来た。静かに無視してスーツケースを乗せる。あとは何も心配しなくて良い。私が住む地域まではママさんの運転で1時間くらいで着く。熱帯雨林の中に敷かれた1本の高速道路から眺める夕日に染まる空がやっぱり好きだ。
明日から私の第二の故郷での生活が始まる。意外と修行だったが。