Serenita

感情の消化。

【世界一周】#15大好きな人たちに会いに行く旅 〜アルバ編〜

今回の記事の大枠(大文字部分)

羽田→シンガポール→ロンドン→ブリュッセルアムステルダムブリュッセル→ロンドン→バルセロナマドリードパナマアルバキュラソー→アルバ→パナマ→ヒューストン→ダラス・フォートワース→ロサンゼルス→成田

 

 

前回の続きから。

 

Corned Beaf作り

エアビーに帰宅した私たちはキッチンでお昼ご飯作り。「Corned beaf」という牛肉を塩漬けにした缶詰(日本でも食べるか分からない)と玉ねぎのみじん切りをフライパンに入れて温め、塩胡椒で味付け、マヨネーズを最後に投入するその名も「Corned beaf」を作った。これをクラッカーにつけて食べる。どう考えても健康に悪そうだけど、「健康に悪そうなものほど美味しい」の式がしっかり成り立っていた。ママさんもドーナおばさんも小さい頃よく食べたらしい。

 

ところでこの旅で私が好きだった場面は、こんな風に3人で食事を囲むときだった。ママさんとドーナおばさんが他愛もない話をしているこの時が1番幸せだった。

 

いつもママさんは朝早くに仕事に行き、帰ってくると部屋でご飯を食べていたため、私は留学中ママさんと食事を囲むことがあまりなかった。パナマでは自室で各々が食事を食べることが良くあることらしい。私も好きな時に1人で食べていたけど、やっぱり食事はみんなで食べたい派かもしれない。

 

食べながらドーナおばさんが言う。「ねえ、この前あなたの元旦那を見たよ。」

 

これにママさん即答。「どこで!!!!」「また白人の女の子といたでしょ!!」

 

ママさんは白人男性と婚約していたけど、別れてからはずっと1人。なぜ再婚しないのか聞いたことはないけど、この反応の感じだときっとまだ好きなんだろうな〜と分かってしまった。時間が解決してくれないこともあるんだと、目の前にいる人の過去がなぜか私の傷をえぐった。

 

「あなたはいつも外国人と付き合っているけど、黒人はオススメしないよ。Cheapだから。ケチなのよ。それからラテン系の人もとってもCheap。」

 

何も口出ししていない私にこんなアドバイスまでしてきた。自分の経験からなのか、分からないけど。

 

ママさんは英語とスペイン語の完璧バイリンガルだけど、同じようにジャマイカ系移民のドーナおばさんは会話のほとんどがスペイン語。英語も完璧に理解できるし、話せるけど訛りが強い。それにつられてママさんもスペイン語で話しがちなので、私にとってこの旅はスペイン語リスニング強化合宿でもあった。前はスペイン語での会話をほぼ理解できなかったけど、今は7割くらい理解できる。

 

ビーチでアイデンティティを考える

食べ終わると私たちはアルバの旅行計画を立てた。(現地に着いてから立てる派。)とりあえず今日はここから一番近い海へ行こうということに。2キロ弱くらいあったと思う。かなり歩いてようやくビーチに出た。すでに日は沈んであたりは薄暗かったが、それでも海は透明度が高いことがよく分かった。私は「夕日が見たかった〜」とがっかり。ビーチで黄昏ていると波の音が静かで癒された。

ビーチまで真っ直ぐ

ふと後ろを振り返るとママさんとドーナおばさんが現地の方と友達になっていた。さすが、コミュ力おばけのラテンアメリカ人。私もその輪に加わる。

暗くても分かる透明感。

現地の方は犬の散歩をしに来ていたお母さんと14歳の娘だった。「ここの方ですか?」と聞くと「そうよ、I'm Aruban.」と言っていた。つまり「アルバ人」であると。オランダ領だけど、この人たちはオランダ人ではなくアルバ人だと認識しているのだ。まあそりゃそうか。オランダからどれだけ離れているか分からない中米の島。オランダ人だとは思えないだろう。だが「I'm Aruban.」と言ったとき、世界中のどれだけの人が理解してくれるだろうか。98%以上の人が首をかしげると思う。そんな島に生まれていたらどうするだろう。私なら説明がめんどくさすぎて、途中からオランダ人ということにしてしまうかもしれない(笑)

 

私を見て「あなたはなに人なの?」と言う。「日本から来ました。」と言うと「ええ〜!!!遠いわね。あなた普通の中国人っぽくないわね。」と言って来たので、「日本です!!」と訂正しようと思ったけど面倒なので笑って誤魔化した。でもドーナおばさんがすかさず「日本人だから中国人と違うのは当たり前でしょう?」と言ってくれた。すると「いや、そうだけど、そういう意味じゃなくて、中国人みたいな感じがしないのよ、この子は。」と言った。「だから日本人!!!」とドーナおばさんが再び訂正してくれた。

 

「典型的なアジア人とは違う感じがする」と言いたかったのだろうか。どうだろう。確かに日本にいると窮屈に感じることもある。でもパナマ人といると自分は明らかに全く違う文化の中で育ったと確信する。じゃあ私のアイデンティティはなんなのだろう、と思ったり。でも20代になってからは「自分は何者なのか」ということを国籍とか人種とかで決めなくなった気もする。と言いつつも、やっぱりママさんとドーナおばさんが「コミュ力おばけ」なのはラテンアメリカ人だからだし、それを「コミュ力おばけ」だと思うのは私が日本人だからなのだろう。

 

彼女たちは1時間かけてこのビーチに毎日散歩に来るらしい。まさにスローライフ。こんな小さな島に生まれていたら、一生何にも悩むことないのだろうか。就職先だって、この小さい島では限られている。選択肢が狭い分、悩まない説。学校の試験だってこの透明な波が流してくれそうだ。でも、まあ、窮屈だったりするのかなあ。

 

アルバはカリブ海地域では失業率が低く、治安が良いことで有名な島。至る所に書いてある、「One Happy Island.」。幸せな島。幸せの定義は人それぞれだけど、アルバ人がとても幸せなのはよく分かる気がした。

 

アルバ人親子は犬を連れてまた1時間かけて島の反対側に歩いて行った。

会合

期待した文明

エアビーに戻り、シャワーを順番に浴びた。風が強いアルバは朝晩は結構涼しい。それなのにシャワーはお湯が出なかった。私はリアルに悲鳴を上げながら浴びた。ママさんが扉の外で「寒くないよ!!!」と叫んでいるのが聞こえた。「寒いから!!!!」と叫び返した。でもパナマの私の家近辺はこの日も1日中断水していたらしく、水が出るだけで幸せなことなのだと言い聞かせた。ついでに洗濯機もないので、着ていた服を全て手洗い。一応パナマでこうなることを想定して洗濯洗剤を日本から持参していた。

 

余談だが、私は日本からヘアドライヤーも持ち込んでいた。もちろん海外対応のもの。アルバの電圧を調べると127V220Vと出ていた。コンセントタイプは日本と同じAタイプ。とりあえず110Vに設定して使うと問題なく使うことができた。2つ電圧が書いてあるパターンやめてほしい…。(この話は伏線)

 

ママさんとドーナおばさんがダブルベッドで寝て、私はキッチンのソファで寝る。

 

アルバ生活続きもぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

One Happy Island